仙台地方裁判所 昭和62年(ワ)572号 判決 1989年8月17日
原告
鈴木茂
ほか一名
被告
関野智之
主文
一 被告は原告鈴木に対し二九三万〇一九二円及び原告秦に対し三四二万七九二三円並びに右各金員に対する昭和五九年一二月五日以降完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告両名のその余の請求を棄却する。
三 訴訟費用はこれを二〇分し、その一を被告の、その余を原告両名の各負担とする。
四 第一項は仮執行をすることができる。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告は原告鈴木茂に対し六一五五万三七二六円及び内五九五万三七二六円に対する昭和五九年一二月五日から完済に至るまで年五分の割合による金員並びに原告秦良子に対し八〇四一万九六八八円及び内八〇一万九六八八円に対する右同日以降完済に至るまで同割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 仮執行の宣言
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
第二当事者の主張
一 請求の原因
1 昭和五九年一二月五日午後九時四〇分頃、宮城県多賀城市八幡二丁目二一番五七号先道路において、原告鈴木が原告秦を助手席に乗せて普通乗用車を運転し、信号待ちのため停車していたところ、被告運転の普通乗用車に追突され、原告鈴木は頭部外傷兼外傷性頸部症候群等の傷害を、原告秦も同傷害のほか背部及び腰部挫傷等の傷害を負い、原告鈴木所有の普通乗用車が損傷した。
2 原告鈴木の入通院
(一) 昭和五九年一二月五日から同月七日まで三日間仙塩病院に入院
(二) 昭和五九年一二月八日から昭和六〇年四月一五日まで一二七日間大竹整形外科医院に入院
(三) 昭和六〇年四月一五日から同年七月六日まで八三日間東北労災病院に入院
(四) 昭和六一年七月二三日から翌六二年二月二六日まで二一九日間大竹整形外科医院に入院
(五) 昭和六〇年四月三日から翌六一年一一月一四日間で実数三四日間東北労災病院耳鼻科・神経科に通院
(六) 昭和六一年一二月一七日から翌六二年二月二七日まで実数七日間東北大学医学部付属病院耳鼻科に通院
(七) 昭和六一年一二月二日から翌六二年三月三日まで実数七日間東北大学医学部付属病院眼科に通院し現在視力障害、嗅覚障害、局部に頑固な神経症状を残したまま固定した。
3 原告秦の入通院
(一) 昭和五九年一二月五日から同月七日まで三日間仙塩病院に入院
(二) 昭和五九年一二月七日から同月八日まで二七日間星整形外科に入院
(三) 昭和五九年一二月八日から六〇年四月二二日まで一三四日間大竹整形外科医院に入院
(四) 昭和六〇年四月二二日から同年六月一八日まで五八日間東北労災病院に入院
(五) 昭和六〇年二月二七日から昭和六一年一一月七日間まで実数四七日間東北労災病院に通院し現在局部に神経症状を残して固定した。
4 原告鈴木の損害
(一) 治療費 昭和五九年度入院分の大竹整形外科医院治療費一五七万八一五〇円は被告において支払済であるが、仙塩病院治療費一三万三二六〇円、東北労災病院治療費三三万八四四四円、大竹整形外科入通院四〇万四二二〇円、東北大学付属病院治療費二万〇〇六〇円の合計八九万五九八四円は未払である。
(二) 入院雑費 合計四三二日間の入院雑費一日六〇〇円として二五万九二〇〇円
(三) 交通費 合計四八日間の通院費一回分六〇〇円として二万八八〇〇円
(四) 文書代 四万五〇〇〇円
(五) 休業損害 二〇四六万六〇〇〇円
原告鈴木は事故当時原告秦とともにスナツク「娘悪魔」を経営していたが、過去の営業成績などからして一ケ月七五万八〇〇〇円の純収益をあげていた。しかるに、本件事故により昭和五九年一二月から同六二年二月まで二七ケ月間全く稼働することができなかつたので、二〇四六万六〇〇〇円の損害を蒙つた。
(六) 入院慰藉料 四〇〇万円
原告鈴木が二七ケ月もの長い間入院したことによる慰藉料四〇〇万円
(七) 後遺症慰藉料 五七二万円
原告鈴木は前記2の後遺症を残し症状固定したので、後遺症による慰藉料として五七二万円
(八) 将来の逸失利益 二七五七万八七四二円
原告鈴木は前記後遺症のため服することのできる労働が制限され、労働能力を三五パーセントを喪失した。
原告鈴木は昭和六二年三月当時満三九歳であるので、就労可能年数二八年、平均給与額三八万一三〇〇円であるから、将来の逸失利益を新ホフマン係数によつて算出すると三八万一三〇〇円×一二×〇・三五×一七・二二一=二七五七万八七四二円となる。
(九) 車両の損害金 五六万円
(一〇) 弁護士費用 二〇〇万円
原告鈴木は本件訴訟代理人に対し二〇〇万円の支払を約した。
よつて原告鈴木は被告に対し損害賠償として六一五五万三七二六円及び内金弁護士費用を除く五九五五万三七二六円に対する事故日である昭和五九年一二月五日から支払済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
5 原告秦の損害
(一) 治療費合計 二〇三万二一二六円
(二) 入院雑費 合計一九五日間の入院雑費一日六〇〇円として一一万七〇〇円
(三) 交通費 合計四七日間の通院費一回分六〇〇円として二万八二〇〇円
(四) 文書代 二万円
(五) 休業損害 一五〇万円
原告秦は原告鈴木から毎月給与を得ける形で稼働していたが、その金額は月額三〇万円ある。しかるに本件事故により昭和五九年一二月から翌六〇年四月まで五ケ月間全く稼働することができなかつたので、その間一五〇万円の損害を蒙つた。
(六) 入院慰藉料 一五〇万円
(七) 後遺症慰藉料 七五万円
原告秦は前記3の後遺症を残して症状を固定したので、後遺症による慰藉料として七五万円
(八) 将来の逸失利益 二〇七万二三六二円
原告秦は後遺症のため服することのできる労働が制限され、労働能力五パーセントを喪失した。原告秦は昭和六〇年五月当時満三六歳であるので、就労可能年数三一年、平均給与額一八万七五〇〇円であるから、将来の逸失利益を新ホフマン係数によつて算出すると一八万七五〇〇円×一二×〇・〇五×一八・四二一=二〇七万二三六二円となる。
(九) 弁護士費用
原告秦は本件訴訟代理人に対し四〇万円の支払を約した。
よつて、原告秦は被告に対し、八四一万九六八八円及び弁護士費用を除く八〇一万九六八八円に対する事故の日である昭和五九年一二月五日から支払済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
二 請求の原因に対する認否及び主張
1 請求の原因に対する認否
(一) 請求原因1の事実は認める。
ただし、原告鈴木運転の普通乗用自動車(原告鈴木所有の点については不知)の損傷は、後部バンパーが多少凹んだ程度の軽微なものであつた。
(二) 同2の事実中、原告鈴木が昭和五九年一二月五日から同月七日までの三日間仙塩病院に、同年一二月八日から同六〇年四月一五日までの一二七日間大竹整形外科医院に、同年四月一五日から同年七月六日までの八三日間東北労災病院に入院したことは認めるが、その余は知らない。
なお、原告鈴木の症状固定日は(同人の主張が必ずしも明らかでないが)昭和六一年二月四日である。
(三) 同3の事実中、原告秦が昭和五九年一二月五日から同月七日までの三日間仙塩病院に入院し、昭和五九年一二月七日から同月八日までの二日間星整形外科に通院し、同年一二月八日から同六〇年四月二二日までの一三四日間大竹整形外科医院に入院し、同年四月二二日から同年六月一八日までの五八日間東北労災病院に入院したことは認めるが、その余は知らない。
なお、原告秦の症状固定日は(同人の主張が必ずしも明らかでないが)昭和六〇年七月三日である。
(四) 同4の事実は争う。
(五) 同5の事実中、入院雑費が一一万七〇〇〇円であること、休業損害(その算定式は争う。)が一五〇万円であることは認めるが、その余は争う。
2 被告の主張
(一) 原告鈴木の損害について
(1) 治療費 二六九万三八五二円
原告鈴木の症状固定日である昭和六一年二月四日までの治療費は次のとおりである。
仙塩病院 一三万三二六〇円
星整形外科 一万九六八〇円
大竹整形外科医院 一五二万二八八五円
東北労災病院 三〇万九六六九円
国保求償金 七〇万八三五八円
合計二六九万三八五二円
右のうち東北労災病院に対する支払一万四九六九円を除いては全て支払済である。なお、症状固定日以降の治療費については被告に支払義務はない。
(2) 入院雑費 一二万七二〇〇円
原告鈴木の症状固定日である昭和六一年二月四日までの入院総日数は二一二日であるから、一日六〇〇円とすると一二万七二〇〇円となる。
(3) 交通費 原告鈴木の通院は本件事故と相当因果関係のないものであるから、認める訳にはいかない。
(4) 文書代 本件事故との相当因果関係が不明であるから認められない。
(5) 休業損害 一八二万七〇一六円
本件は、仙台簡易裁判所昭和六〇年(交)第二五号調停事件をもつて調停を行ない、原告鈴木に対し、その収入を証明する文書の提出を再三に亘り要求したが、原告鈴木は、終にその文書の提出をしなかつた。したがつて、休業損害の算定基礎となる資料がないため、昭和五八年宮城県産業計・企業規模計の賃金センサスを用いて原告鈴木の休業損害を算定せざるをえない。これによれば、三五歳から三九歳の特別給与を含めた月間平均給与額は、男子が三四万七五〇〇円、女子が一六万九六〇〇円である。ところで、原告らは、かねて共同でスナツクを経営していたとの主張をしていたので、相互の寄与率をそれぞれ五〇%とした場合、原告鈴木の一日当りの収入は次のとおり八六一八円となる。
(三四万七五〇〇円+一六万九六〇〇円)×〇・五
一方、原告鈴木の入院日数は二一二日であるから、その休業損害は一八二万七〇一六円となる。
(6) 入院慰藉料 一二二万四〇〇〇円
これは入院七ケ月、通院七・九ケ月とした場合である。
(7) 後遺障害の慰藉料 三二万円
原告鈴木の後遺障害等級は一四級であるから、それに対する慰藉料は三二万円が相当である。
(8) 逸失利益 二九万二七五八円
原告鈴木の一日当りの収入八六一八円、労働能力喪失率五%、二年間の労働能力喪失を考慮した場合のホフマン係数一・八六一四とすると、次のとおり、原告鈴木の逸失利益は二九万二七五八円となる。
八六一八円×三六五×〇・〇五×一・八六一四
(9) 既払額 四八八万九三九三円
内訳は、
治療費の内金 二六七万八八八三円
他の損害の内金 一九六万〇五一〇円
被告独自の支払 二五万円
である。
(10) 未払額 一五九万五四三三円
以上のとおり、原告鈴木の総損害六四八万四八二六円から既支払四八八万九三九三円を差引くと、被告が同原告に対して支払うべき金額は一五九万五四三三円となる。
(二) 原告秦の損害について
(1) 治療費 二五三万三二一三円
原告秦の症状固定日である昭和六〇年七月三日までの治療費は次のとおりである。
仙塩病院 一四万〇七八〇円
星整形外科 一万九六八〇円
大竹整形外科医院 一五七万四八六三円
東北労災病院 二三万八〇九三円
国保求償金 五五万九七九七円
合計二五三万三二一三円
右のうち東北労災病院に対する支払四万二〇〇三円を除いては全て支払済である。なお、症状固定日以降の治療費については被告に支払義務はない。
(2) 入院雑費 一一万七〇〇〇円
原告秦の症状固定日である昭和六〇年七月三日までの入院総日数は一九五日であるから、一日六〇〇円とすると一一万七〇〇〇円となる。
(3) 交通費 原告秦の通院は本件事故と相当因果関係のないものであるから、認める訳にはいかない。
(4) 文書代 本件事故との相当因果関係が不明であるから認められない。
(5) 休業損害 一六八万〇五一〇円
原告鈴木と同様の理由により、原告秦の一日当りの収入は次のとおり八六一八円となる。
(三四万七五〇〇円+一六万九六〇〇円)×〇・五
一方、原告秦の入院日数は一九五日であるから、その休業損害は一六八万〇五一〇円となる。
(6) 入院慰藉料 一一九万九〇〇〇円
これは入院六・五ケ月、通院八・五ケ月とした場合である。
(7) 後遺障害の慰藉料 三二万円
原告秦の後遺障害等級は一四級であるから、それに対する慰藉料は三二万円が相当である。
(8) 逸失利益 二九万二七五八円
原告秦の一日当りの収入八六一八円、労働能力喪失率五%、二年間の労働能力喪失を考慮した場合のホフマン係数一・八六一四とすると、次のとおり、原告秦の逸失利益は二九万二七五八円となる。
八六一八円×三六五×〇・〇五×一・八六一四
(9) 湯治料 一〇万〇一〇〇円
(10) 既払額 三九四万一三一〇円
内訳は、
治療費の内金 二四九万一二一〇円
他の損害の内金 一二〇万〇一〇〇円
被告独自の支払 二五万円
である。
(11) 未払額 二三〇万一二七一円
以上のとおり、原告秦の総損害六二四万二五八一円から既支払三九四万一三一〇円を差引くと、被告が同原告に対して支払うべき金額は二三〇万一二七一円となる。
(三) まとめ
被告が原告らに支払うべき金額は以上のとおりである。本件については、既述のとおり六回にわたる調停を行つたものの解決に至らなかつた事案であるが、その理由は、原告らがその収入を証明する資料の提出をしなかつたためである。調停においても、双方の損害額は大幅に食い違つていたが、本訴に至つて、原告らの主張する損害は約倍近くに膨れ上がつた。
本件追突事故によつて原告鈴木の運転車両は損傷を受けたが、その程度は前述のとおり、後部パンパーがほんの少し凹んだくらいであつた。それから推測すると、原告らの傷害は、原告鈴木が四三二日、原告秦が一九五日も入院しなければならないほどのものであつたとは考えにくい。原告らの入院は、本件事故と相当因果関係のない病名によるものも或いは含まれているのではないかとも考え得るのである。
以上から、原告らの請求には到底応じられない。
第三立証
当事者双方の証拠の提出、援用及び認否は記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりであるから、これを引用する。
理由
一 請求原因1の事実は被追突車両が原告鈴木の所有である点を除き当事者間に争いがない。そうすると、被告は自動車損害賠償保障法三条に基づき原告両名が本件追突によつて負傷したために生じた損害を賠償すべき義務を負うものというべきである。
二 しかして、請求原因2の(一)乃至(三)の原告鈴木の入院治療の事実及び同3の(一)乃至(四)の原告秦の入通院治療の事実は当事者間に争いがなく、成立に争いのない甲第一号証の四乃至六によると、原告鈴木は昭和六一年二月四日本件交通事故による外傷後遺症が固定したこと、また成立に争いのない甲第三号証の二、三によると、原告秦は遅くとも昭和六一年一月二一日に原告鈴木と同様の後遺症が固定したことを認めることができる。
原告両名は右後遺症固定日以後も本件交通事故による後遺症のため通院している旨主張する。しかし、成立に争いのない甲第九号証によると、事故当初における医師の診断は、いずれも頭部外傷兼外傷性頸部症候群(原告秦についてはこのほか背部及び腰部挫傷)のため約二週間の安静加療を要するというものであつたところ、その後の原告両名の主訴はめまい、頭痛、四肢のしびれ等であつて、数回転医し、治療期間が長過ぎると認められること、前掲甲第三号証の二及び弁論の全趣旨によると、東北労災病院心療内科医師山内祐一は原告秦に対しては昭和六〇年七月三日症状固定の診断をしたが、同原告の主訴により、後に右診断を撤回し、昭和六一年一月二一日を症状固定とした、旨診断したことが認められること、成立に争いのない甲第一一号証及び被告本人尋問の結果によると、被告も本件事故により外傷性頸部症候群、両側胸部及び胸骨部挫傷を負つたとの診断をされたが、程なくして治癒したことが認められること等と対比して右主張は採用することができず、他に前段の認定を覆すに足りる証拠はない。
三 そこで、原告両名の本件傷害に基づく損害額を判断する。
1 原告鈴木について
(一) 治療費 二六九万三八五二円
成立に争いのない甲第二号証の一乃至五、三五乃至三八、五一及び五四並びに弁論の全趣旨により被告主張の額を認める。
(二) 入院雑費 一二万七八〇〇円
当事者双方に争いのない金額を認める。
(三) 文書料 二万三〇〇〇円
本件事故により必要とした文書料は、成立に争いのない甲第二号証の五一、五二及び五四によつて右のとおり認める。
(四) 休業損害 二〇七万九九八八円
証人加藤定江、同相山すみ子、同加藤一男の各証言及び原告両名本人尋問の結果中原告の収入に関する供述部分はたやすく措信できず、他にこれを認めるに足りる的確な証明がないところ、原告両名は「娘悪魔」なるスナツクを共同経営していた旨供述し、その事実は認められるから、原告鈴木の収入は全国平均賃金センサス(昭和六〇年度版)年齢三五歳から三九歳までの(事故当時同原告は三七歳であつた。)男子の年間収入四六四万〇六〇〇円を、原告秦の収入は同じくその年齢三五歳から三九歳までの(事故当時原告は三五歳であつた。)女子の年間収入二四八万八〇〇〇円を採用し、これを共同の収入と推定し、その入院期間二一三日分についてのみ算出する。通院期間については、症状固定前の通院日数を確定するに足りる的確な証拠がないから、算出できない。
(四六四万〇六〇〇円+二四八万八〇〇〇円)×〇・五×二一三÷三六五=二〇七万九九八八円
(五) 入院慰藉料 一四五万円
症状固定日である昭和六一年二月四日まで入院約七ケ月、その余の期間約八ケ月であるから、入院一ケ月につき一五万円、その余の期間一ケ月につき五万円が相当である。
(六) 後遺症慰藉料 五六万円
原告鈴木の後遺症が自賠責後遺障害一四級と認定されたことは当事者間に争いがないから、右金額が相当である。
(七) 逸失利益 四八万六七〇五円
収入を(三)同様に認定し、後遺障害による労働能力喪失率を右等級に照らし五パーセントとし、労働能力喪失期間を三年とすると右金額になる。
(四六四万〇六〇〇円+二四八万八〇〇〇円)×〇・五×〇・〇五×二・七三一(ホフマン係数)=四八万六七〇五円
(八) 以上の合計は七四二万一三四五円であるところ、これに対する被告主張の既払額四八八万九三九三円は原告鈴木が明らかに争わないところであるからこれを控除すると、未払額は二五三万一九五二円となる。
(九) 交通費については症状固定前の通院日数不明であり、的確な主張立証がないから認められない。
2 原告秦について
(一) 治療費 二五三万三二一三円
成立に争いのない甲第四号証の九乃至一一、一四乃至一九号証並びに弁論の全趣旨により被告主張の額を認める。
(二) 入院雑費 一一万七〇〇〇円
当事者双方に争いのない金額を認める。
(三) 文書料 一万五〇〇〇円
成立に争いのない甲第四号証の二〇、二一により右の金額を認める。
(四) 休業損害 一九〇万四二一五円
原告鈴木と同一の理由及び算定方式により、その入院期間二一三日分についてのみ算出する。通院分について算出できない理由も、原告鈴木の場合と同様である。
(五) 入院慰藉料 一四〇万円
入院六・五月、通院八・五月として原告鈴木と同一の基準で算定した。
(六) 後遺症慰藉料 五六万円
原告鈴木の場合と同様である。
(七) 逸失利益 四八万六七〇五円
原告鈴木の場合と同様である。
(八) 湯治料 一〇万〇一〇〇円
被告が進んで認めるところであるから右額を認定する。
(九) 以上の合計は七一一万六二三三円であるところ、これに対する被告主張の既払額三九四万一三一〇円は原告秦が明らかに争わないところであるから、これを控除すると、未払額は三一七万四九二三円となる。
(一〇) 交通費を認めない理由は原告鈴木のそれと同様である。
四 前掲甲第九号証によると、本件追突事故により原告鈴木運転の車両のリヤーバンパーにへこみを生ずる損傷が生じたことを認めることができ、趣旨及び方式によつて成立を認めることのできる甲第一〇号証の一によると、原告鈴木がその修理のため一四万八二四〇円を支出したことが認められるので、同額を車両損害と認める。
五 弁護士費用は本件事案の態様及び右認定の損害額に照らし、原告一人当り二五万円が相当である。
六 してみると、原告両名の本訴各請求は、原告鈴木に対し二九三万〇一九二円及び原告秦に対し三四二万四九二三円並びに右各金員に対する本件事故の日以降完済に至るまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容するが、その余は失当であるからこれを棄却し、訴訟費用の負担及び仮執行の宣言につき民事訴訟法八九条、九二条本文、九三条一項本文及び一九六条一項を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 宮村素之)